大人オリジナル小説
- Re: 暗闇の世界で、翼は溶けていった。 ※少し修正中。 ( No.44 )
- 日時: 2012/04/01 15:37
- 名前: 来夏 ◆HpxJ7yQkz.
episode 榎本琳華
いつ終わるのか分からない、この虐め。
わたしがあの時、あんな事を言わなきゃ良かったのに。
椎名さんが何で学校に来たのか、理由も分かった。それと同時に、椎名さんが不登校だった理由も知った。
『杏子より、まだいいと思うぜ。あいつは、理不尽な理由で虐められてたから』
『理不尽な、理由?』
『榎本は理由があったじゃねーか。けど、あいつは……クジで決められたんだよ』
『クジ……?』
『俺は、虐めは無くならないって思ってるぜ。けど、あいつの場合は理不尽だ』
『それが、ターゲットになった理由?』
そんな会話を繰り返していた。若林君は、最後にこう言っていた。
『俺は、杏子に虐めなんかして欲しくなかった。だから、ターゲットになったんだよ』
***
毎日の暴力は、次第に慣れていった。けど、心の傷だけは慣れなかった。
でも、明人お兄ちゃん達が居るから。だから、まだ良かった。
「……」
「絶対に許さないからね、榎本さん?」
ついに、わたしは結っていた髪を切られた。その犯人は、四之宮さん。四之宮さんの右手には綺麗なハサミ。そして口元には笑みが浮かんでいた。
わたしは、四之宮さんの一言に似た意味の言葉を返した。
「――わたしも、四之宮さんがして来た事は許さないから」
「あんたがあの時、言わなかったら虐められなかったのにね。陰でコソコソ言うの、最低じゃない」
「……だからって、こうやって虐めるのもどうかと思うよ」
そう返すと、四之宮さんは頬を叩く。わたしには、四之宮さんという存在は理解出来なかった。
考えも、全部。そんな事、理解出来なかった。
言い返しても、彼女の言う事はたまに正論がある。
けれど、こうやって虐める事に関しては――正論とも言えない。
――まだ、続くのかな。もう、限界だよ。
わたしは、暴力と言う痛みに耐えながらそう思った。