大人オリジナル小説

Re: 暗闇の世界で、翼は溶けていった。 ※少し修正中。 ( No.48 )
日時: 2012/04/02 17:13
名前: 来夏 ◆HpxJ7yQkz.

 episode 古川流星

 ※次の日の朝


「ちょー元気無くしてるじゃん! 紘歌の作戦、上手くいっちゃったね!」
「ねー。コイツ、生意気だもん」

 ドアを開ければ、日村と桃沢の笑い声が聞こえる。俺は、笑われている榎本を見る。

「……」

 髪を切られたら、そりゃあ当然だろうな。そう思いながら、戸川を探す。

「……あ、古川」
「……戸川」

 今来た所だったみてーだな。けど、コイツ大丈夫なのか?

「戸川、お前倒れたんだろ。今も虐めてるぞ」
「……大丈夫、だから」

 何かコイツの顔色、かなり悪いのは気のせいだろうか。顔色が悪い事を聞こうとした時だった。


「若林。今なら許してもいいよ。椎名も、こっち側に引き入れてもいいよ?」

 見ると、大和が四之宮に教室の隅に追い詰められるのが見えた。それと同時にそんな四之宮の声。けど、大和は言った。


「ぜってー戻らねぇ。杏子だって、お前等の傍に居たくねーよ」
「そう。だったら徹底的に痛めつけるから」

 大和の言葉に、四之宮は冷たい声でそう返した。そんな四之宮を慌てて止めたのは−―

「ちょ、四之宮! 大和はやめとこーぜ!」
「取りあえず、一番元気のない榎本をなぐればいいじゃねーか」

 ――匠も、一馬も多分大和を虐める事だけは避けたいんだろうな。
 ほかの三人はどうでもいいみたいだけどな。

「……そうね。若林、今日は見逃すから」

 そう言って、笑顔を浮かべた。四之宮は榎本の前髪を引っ張りながら、こう言った。

「死ねばいいのに。まぁ自殺したって、誰も悲しまないと思うけどね!」
「あはははー、それ言いすぎだよ紘歌!」

 日村が四之宮の言葉に、頷きながら笑っていた。榎本の表情は、無表情だった。まるで、何かをあきらめたみたいに――