大人オリジナル小説
- Re: 暗闇の世界で、翼は溶けていった。 ※少し修正中。 ( No.53 )
- 日時: 2012/04/09 14:49
- 名前: 来夏 ◆HpxJ7yQkz.
第5章 episode 工藤雛
屋上から帰って来た途端、教室は一気に静かになる。紘歌も戻って来ていた。紘歌達はこっちを見て、笑っていた。
でも、何でそこに佐倉と新野が居るんだろう。
「……」
戸川は自分の席に座っていて、今野達に話しかけられていた。それを見ていた時、真奈美が大声で言った。
「あんた達虐める奴、二人増えたから! 覚悟しなよね〜」
「……」
佐倉は顔色が悪かった。新野は普通だったけど。だけど、増えたって事は椎名の予想が、当たったって事か? だけど戸川は?
そんなあたしをよそに、紘歌は言った。
「味方が増えるとか、そんな甘い考え方はしないでよね?」
そう言って、満面の笑顔を浮かべた。
***
虐めの方法も、あの二人があっちになってから変わった。何故かあたしと椎名、若林は――暴力を受けなかった。だけど、シカトとかは続いてる。机の落書きだってあるけど。
ただ――琳華だけは暴力を受けていた。助けようとしたが、野村達が立ちふさがっていた。
『お前等はちょっと待ってろよな!』
『暴力受けたくないだろ?』
だからこうやって、立ち往生……だっけ? そんな状態。
「榎本、屋上行って飛び降りれば? うぜぇんだよ」
「死ね!」
見ると、戸川がそれを見て唇を噛み締めてるのが見えた。けど、あいつは何であんな風に叫んだんだろうな。
止めようとしてるけど、今野達が抑えてる。きっと自分の友達が虐められるのだけは、見たくないんだろうな。
「――何で死なないの? でもあたし、人殺しにはなりたくないからさ」
「だから死んで欲しいんだよね、自分でさ」
――なぁ、ここまで普通言うのかよ? 自分達は、それでいいのかよ?
「――ふざけんじゃねぇ!!」
あたしは紘歌を――殴った。
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