大人オリジナル小説

Re: 暗闇の世界で、翼は溶けていった。 ※少し修正中。 ( No.64 )
日時: 2012/11/17 00:00
名前: 来夏 ◆mEmTKV/S.k


 episode 古川流星



「……」


 先に屋上へ行くか。
 そう思って、俺は屋上へ行った。
 ドアを開けると、そこには−−



「流星?」
「大和……」


 
 右頬に湿布を貼り、柵に寄りかかりながら座る大和が、そこにいた。赤いバンダナを巻きながら、俺を見て目を丸くしていた。


「俺に話しかけない方が、いいんじゃね?」
「今はいいだろ。四之宮は停学でいねぇしよ」


 大和の言葉にそう返して、俺は大和の隣に座った。そして俺は謝った。


「大和。ごめんな」
「あ? 何で謝るんだよ。流星達は、何もしてねーじゃん」
「……でも、裏切ったじゃねぇか。俺らは」


 俺は、大和を裏切った。止めれなかったし、暴力はしてねーが、それでも裏切ってる事は一緒だ。
 
 でも、虐められる側が悪いとは思ってる。けど、大和は違う。大和は、大切な奴を−−学校に行かせようとしただけじゃねぇか?
 あいつが大切だったから、自分の事はいいって思って裏切ってる。
 大和は、虐められる理由なんかない。


「俺は、大和が虐められる理由なんてねーと思ってる。お前は、椎名を学校に来させようとしただけ、だろ? だったら、俺は虐める事なんかできねーよ」


 大和は携帯を右手で握りしめながら、俺を見ていた。普通ってより、いつも通りの表情で。


「……流星、お前……」
「俺は、大和を殴るとか出来ねーよ……。普通に、話してたかっただけだってのに」


 俺は本心を言いまくっていた。
 


 ただ、大和と話していたかっただけだった。