大人オリジナル小説

Re: 暗闇の世界で、翼は溶けていった。 ※少し修正中。 ( No.79 )
日時: 2013/07/02 20:45
名前: 来夏 ◆2ZBHn0dH/Y



 episode 榎本琳華


「何か騒がしくない…?」


 校舎内に入ると、何故か騒がしかった。千原さんの一言で、低血圧の古川君がイライラしながら返す。


「いつにもまして、ウゼェ…」


 この二人とは、若林君と杏子ちゃん、麗ちゃんと歩いていた時に会った。
 麗ちゃんも怪訝そうにしながら、右手を腰に当てている。


「何で……?」


 わたしが、そう言いながら階段を登っていく。みんなも怪訝そうにしながら登る。
 その時、一人の女の子が降りてきた。それも急いで。でもわたし達に気づいて、止まった。


「あ、麗! 大変!」
「明日香? 何したの?」


 日向さんが後ろに居た麗ちゃんに、駆け寄った。
 そして衝撃というか、驚く事を口にした。


「四之宮達が、マジギレして喧嘩してる! 先生達が止めようとしたけど、入れない様にしちゃったらしくて……」
「え……それってやばいんじゃ」


 ―――だから、騒ぎが起きてるんだ。
 そして日向さんは、知らせようとしてたのかもしれない。


「先生達が必死に説得してるけど、何かヒートアップしてるし……」


 麗ちゃんの後ろに居た千原さんを見ると、彼女は真っ青な顔で呟いた。


「や、やっぱり……ほ、ほんとの事だったんだ」
「千原……」


 古川君が千原さんを見て、ため息をつきながらボソボソと喋りだした。



「日村と桃沢に、コイツ言われたんだよ。裏切ろうって。ちょうどそれが起きちまったって事だよな」
「アタシだって悪いのに……なのに、おかしいよね」

 
 千原さんは、真っ青なままだった。血の気が引けてるみたいな、そんな状態で。
 今まで一言も話していない杏子ちゃんが、日向さんに問いかけていた。


「……怪我してる子は、いないの?」
「多分いると、思う! でもあのままじゃヤバい……」


 
 ―――おにいちゃん、わたしどうすればいいのかな?



 わたしはどうすればいいか、分からなかった。