大人オリジナル小説
- Re: 暗闇の世界で、翼は溶けていった。 ※少し修正中。 ( No.88 )
- 日時: 2013/07/28 12:40
- 名前: 来夏 ◆2ZBHn0dH/Y
episode 榎本琳華
「榎本、訴えるのか?」
「訴えないです。けれど、謝罪はして下さい。わたしは、杏子ちゃんにも謝ってほしいです」
わたしは、訴えなかった。
髪を切る事は、傷害罪とか、そういうのに入るらしい。
けれど、自分だって悪かったし、訴えるのもなぁ、っと思った。
でも四之宮さんを訴えなきゃ、変わらない気がする。
「そうか…先生達としては、訴えて欲しくないけどなぁ」
こう言っている時点で、もう駄目だとわたしは思う。
やっぱり言うしかない。
「反省すらしないんですか……?」
「いや、反省はしてるけどな…」
「反省なんか、していないじゃないですか! わたしは別にいいですけど、杏子ちゃんには謝ってください!」
謝って欲しかった。
杏子ちゃんがどれだけ苦しんだのかすら、知らないだろう。
証拠をそろえても、何も言わなかったこの学校も、敵だ。
「もう言い逃れなんて、出来ないんですよ! いい加減に謝ってくださいよ!」
憎い、って気持ちが分かった気がした。
この人達も、認めなかったらこんな事が起きた。
わたしは睨みつけた。
「でも、椎名の事はもう終わったんだ! だから、な!」
「だからじゃないです! 四之宮さん達が引き起こして……勝手にターゲットにされて、理不尽にやられて! 先生達だって、杏子ちゃんの人生を奪ったんですよ!!?」
わたしは叫んだ。叫びまくった。
何度も何度も、わたしは言い続けた。
「謝ってください! 杏子ちゃんに、謝って…!」
泣きながら、わたしはそう言い捨てた。
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