大人オリジナル小説

Re: Re:愛してる ( No.126 )
日時: 2013/06/09 01:21
名前: おかゆ




私は、このままだと駄目になってしまうんじゃないか。



――文化祭当日。


時間というのは時に残酷に流れるものであって。


『これより11時から軽音部によるライブが始まります。繰り返します―・・』


どこかでそんなアナウンスが聞こえてきて。


私は一人でぶらぶらしていて。


結局皆からは誤解されたままで。



「やることないなぁ・・」



私の高校は文化祭のときは他校の生徒もこっちが招待すれば出入り可能になる。


「理紗、」



周りは皆騒いでいて私が呟いた言葉は聞こえない。


皆は私をいないものとし、足を進め、いろんなことをしゃべる。



いつかまた。



そんな言葉を交わした。


理沙が泣いた。


私も泣いた。


伊藤が優しかった。



伊藤に恩返ししようと思った。


いつしかそれが憧れから恋に変わった。


そして――・・





「いた!!!ったく!どこ回ってんだよ!!・・ってお前一人か」



どこか笑いを含めたような声。




「――あんたも一人じゃない」




伊藤。





そう言うと彼――伊藤はまた小さく笑った。



「うるせーよ。俺はお前を探してたんだよ」
「っ、」


少し、ドキッとしてしまう。


「なん、で?」


思わず、声がおかしくなって。



「お前、今までずっと一人だったの?」
「うん・・そうだけど・・?」
「ハァ・・・」


伊藤は何か呆れたとでも言うようにため息をついた。



「・・・・あの子は?」
「あの子って?」
「お前の親友だよ」




親友、




伊藤の口から出たその言葉は私の心を動かすには十分すぎる言葉で。




「・・・・呼ぶわけないじゃない」
「だろうと思った」
「何?嫌味を言いにきたわけ?」
「違うよ」


そして伊藤は決心したように。



「――・・ごめん」




謝った。


「・・・・え?」


「いや、だからさ、先に謝っておこうかなと・・ごめん」


「いやいやいや、なんで急に謝られるの?謝られるようなことしたの?」


すると伊藤は少し目線をそらした。



「・・・・・お前、あの『話し合い』があってから会ってないんだよな?」
「・・・うん」



・・・・ちょっと待ってよ。



「これからも会わないつもり」
「それは違うんじゃないか?」
「は?」



・・・・意味が解らない。

「・・・まぁ、一生ってわけじゃないけど。でもけじめをつけて、それから―」

「市川」


・・・・嫌な予感しかしない。




「・・・あの子に会って来い、市川」