大人オリジナル小説

Re: Re:愛してる ( No.34 )
日時: 2012/03/18 19:26
名前: おかゆ

山田理紗。


彼女はいつでも優しかった。
だから私はいつもその優しさに甘えていたのかもしれない。

だから麗華たちに裏切られて、嫌がらせをされた時、本当は心のどこかで思っていた。


――・・あぁ、やっと自分に回ってきた、と。

自分だけ幸せになんてなれないよ。
理紗うけた痛みは私も受けるよ。


なんてことを考えてた。


『市川さんってクールだよね』
『なんか近寄りがたい感じ』
『一匹狼みないな?』

クラスの女子達が口々にこういった。


違う。

本当は。怖かった。


また、あの時と同じようになるんじゃないかと。
だから無意識に自分で境界線を作った。
境界線を作ったら自分は前のように傷つくことも傷つけることもないんじゃないかと。

そして、

軽く話し合える仲になっても、
これ以上はこえてはダメと。


自分で決まりを作った。



そうしたらなんだか楽になった。

自分が裏切ることも、裏切られることもない。
麗華達の場合は私が何かしてぐちゃぐちゃになったけど
結果これでいい。と


私は満足した。

これは私が求めていた現実。
理紗と同じ痛みを味わうために自ら作り出した世界。

結局、


私はそういう人間なんです。

格好つけて、でもいざというときに何も出来ない。

そんな人間なのです――・・



*****


「・・・・・」
「・・、ごめん・・伊藤がどうとらえてもいいけどさ・・これが私の過去・・というか・・なんていうか・・」

なんとなく言葉に詰まる私を伊藤は静かに待ってくれた。

「・・・・なんで・・もっと理紗の近くにいられなかったんだろう・・」

結局出した言葉はこんなのだった。


「――・・お前が、」

突然伊藤が口を開いた。


「・・・お前が過去の失敗をくよくよ引きずるタイプだっていうのは十分分かった」
「・・・」
「"いじめ"ってのは絶対なくならないと俺は思ってる」
「・・?」
「・・・お前も思ってる通りいけないことだって分かっててもそれをとめられるのはほんの一握りの人間だけだ」
「・・・うん、」
「・・・・皆やっぱり・・自分が大事で・・自分が可愛いんだよ・・」
「何を今更。結局、そんなもんでしょ?」
「――・・俺も同じだ」
「それ、前も言ってたよね」
「おう」


そして夕日に照らされて伊藤の髪の毛が綺麗に反射する。


「・・・俺もお前のこと、あまりよく言えないや」
「・・・・、何それ」


私は軽く笑った。伊藤もつられて笑う。


「・・・・・・・ありがとう」


気が楽になった。