大人オリジナル小説

Re: Re:愛してる ( No.72 )
日時: 2012/07/19 14:03
名前: おかゆ




―・・扉が閉まります。ご注意ください・・―


遠くの方でそんな音が聞えた。


――・・私は何をやってたんだろう。


言いたいことは沢山あった。
それを言葉にしようとするとのどに張り付いたようになってなかなか言葉にできないのだ。



「・・・・・、」

電車が発車する。今は何時?


「・・・・・ぁ」


小さな声で驚きの言葉を漏らす。


「(私の学校の制服)」


そうか、もうそんな時間なのか。


その集団は私なんて見もしないで、どこかで買ったであろうジュースを片手に楽しくおしゃべりをしていた。


私には遠い世界。


ああして誰かと楽しくしゃべることも、寄り道することも多分ない。


(それはそれで寂しいなぁ、)


そう望んだのは自分なのにね。



「飛鳥それ何ー?」
「あー、これねー、」



「・・?高木さん・・?」


階段から聞き覚えのある声。高木飛鳥だっけ。


「ちょっともぉー。そんなんじゃないから!」
「本当に?」
「ホントだって!!」


あぁ、あんなに仲良く話している。
別にそれがどうこうって訳じゃないけど。

ただほんの少し、わずかに。







うらやましいと思ってしまった。




「(あぁ、もう。理紗に会ってから変なことばかり考える)」


もう一度、あんな風に笑い会える友達ができたら。



それだけでどんな風に世界が変わって見えるんだろう。




―・・発車します。ご注意ください・・―


いつの間にかきた電車に皆乗ってしまっていたようで。


一瞬、高木さんとも目があった気がした。

あわてて目をそらす。
そうだ、目立たないようにしなきゃ。


そしてまたほんの少し彼女の方を見た。


彼女はまた友達と楽しくしゃべっていた。
さっきのは、気のせい。






「・・・・っあー、今電車行ったかー・・」

これまた聞き覚えのある声。





「・・あと7分も待つのかよ」


私の隣に座り、独り言を呟いている『彼』に私は驚きを隠せなかった。





「・・・・・伊藤・・」
「え?・・・・っ!?」









そして歯車はゆっくりと動き出す。