大人オリジナル小説

Re: 私って、生きてる意味、あるのかな。 ( No.13 )
日時: 2012/04/02 13:52
名前: 香月

No.7 「何のため?」



 「…ってなわけで、万年金欠なんだよねー、俺」

 おせっかいな青年は、さっきからしゃべり倒している。
 
 でも、ぜんぜん耳に入ってこない。

 はっきり言って、どーでもいい。

 全部全部、どーでもいい。


 「ほんと、生きてくのに、悩みって付き物だよな」
 「……はぁ」
 「悩みの無い人なんて、いない訳でさ。だから君も、大丈夫だよ。今は辛いかもしんないけど」


 急に、私の脳が動き出した。


 ……何言ってんの、この人?

 なんで、そんなに軽々しく言うの?

 あなたと一緒にしないでよ。

 他の人と一緒にしないでよ。


 私はみんなよりずっと、痛くて苦しい。


 「……なんで…」
 「ん?」
 「…なんで、私が悩んでると思ったんですか?」

 つぶやくように訊く私。

 「…なんでって…泣いてたから?」

 そう言って、青年は私の目を指差す。

 「目が赤いよ」

 そして、ほほえむ。



 「………!」

 顔が赤くなるのが、自分でも分かる。

 恥ずかしい。悔しい。…ものすごく、腹立たしい。


 「じゃあ、俺はもう行くよ。気をつけてね」

 手をひらひらと振って去っていく青年の背に、私は声をあげる。



 「人って、何のために生きてるんですか?」






 なんのため?

 苦しむため?

 泣くため?

 傷つくため?




 ……死ぬ、ため?