大人オリジナル小説

Re: 私って、生きてる意味、あるのかな。 ( No.14 )
日時: 2012/04/05 09:13
名前: 香月

No.8 「あなたはいいね。」




 人って、何のために生きるの?



 心の底からの質問だった。

 究極な問い。

 なのに青年は、いとも簡単に答えた。


 「生きるため」


 …生きるために、生きる…?

 何それ。意味が分からない。


 「答えになってないです」
 「あはは、そうだね。なんて言ったらいいかなー…。…一日一日を生きていくことに、意味があんだよ。例えば苦しいことがあって、それを傍観するにしても、正面から向かうにしても、さっさと逃げるにしても、苦しいって思うことが大切っていうかさ」

 暗い空を見上げて言う青年。

 月明かりで、瞳が輝いて見える。

 それを見てから、視線を下に落とす私。


 …大切な訳ないよ。

 だって、苦しむんだよ?傷つくんだよ?

 それって、とても痛いの。

 もう消えたい、って思うほど。


 「苦しいことって、楽しいことを経験してるから、苦しいって思うんだよ。つまり、その逆だって言える。苦しいことを知っているから、楽しいって思える」
 「………」
 「そう考えると、苦しいって思うことも悪くない…って思えてこない?」



 …思えてこない。全然。

 だって私にはもう、楽しいと思う心なんてないもの。

 傷つくことしか、できない心なんだもの。





 あなたはいいね。そう思える心があって。

 あなたはいいね。輝く瞳を持っていて。

 あなたはいいね。



 生きることに、絶望してなくて。