大人オリジナル小説
- Re: 私って、生きてる意味、あるのかな。 ( No.16 )
- 日時: 2012/04/18 23:58
- 名前: 香月
No.10 「見たくない。」
家の中は闇に包まれ、静まり返っていた。
物音を立てないようにして、自分の部屋に戻る。
あの二人が起きて来たら、色々面倒だ。
パタン。
ドアを閉める。
よかった。二人とも、起きなかったみたい。
顔を上げる。
床に転がった貯金箱が、窓からもれる月明かりに照らされていた。
私はベットに倒れ込み、窓から月を見上げる。
「…明けない夜はない」
ありふれたフレーズをつぶやく。
テレビの中の歌手とかが、よく口にしているけれど。
夜の何が悪いの?
私は、このフレーズを聴くたび思う。
どうしてそんなに夜を嫌うの?
どうして夜を腫れ物みたいに扱うの?
夜が明けなくたっていいでしょ?
ずっと眠っていればいいんだから。
いつまでも、永遠に眠っていれば、さ。
いつか太陽の存在なんて、忘れるよ。
君は、夜が好きなんだね。
…嫌いじゃないってだけ。
太陽の光が嫌いなだけなんじゃないのかい?
…そんなこと、ない。求めているもの。
ただ、私には遠すぎて、まぶしすぎて。
だから、見たくないだけだよ。
PR