大人オリジナル小説

Re: 私って、生きてる意味、あるのかな。 ( No.17 )
日時: 2012/04/30 07:38
名前: 香月

No.11 「教えて。」




 「海湖、今日テストあったでしょう。見せなさい、早く」


 帰ってきた途端、コレですか。

 私は心の中でため息をつく。

 そしてカバンの中からテストを取り出し、『お母さん』に渡す。



 「……何なのこの点数っ!何であんたはそんなにバカなの!?」


 叫びだす『お母さん』の声が、なんだか遠くに聞こえた。

 『62』という数字が、ひらひらと見え隠れする。


 なぜか、昨日会った青年の顔を思い浮かべていた。

 その顔に訴えるように、頭の中で言葉を連ねる。



 …仕方ないでしょ、精一杯やってもそれしか取れないんだから。


 っていうかさ、人生、四則計算と母国語知ってればやっていけるじゃん。

 何で理科とか社会が、教育課程に入ってるの?


 どうせならもっと、人生に役立つことを教えてよ。


 友達の作り方とか、ムカつかない方法とか、楽に死ぬやり方とか、さ。


 そっちの方がよっぽど、使えるでしょ?



 「……ちょっと、聞いてんのっ!?」


 突然、鈍い音と共に、お腹に激痛が走る。


 ……蹴られた?


 「ゲホッ……」


 ……いたい。痛いいたいいたいいたい…………。


 呼吸が、できない。くる、しい……。



 心も体も。

 もうボロボロ。


 私が、頑張らない、理由はね。


 もう、いないから。



 どんなに頑張っても。



 褒めてくれる人は、もういないから。


 …もう、誰も。




 誰か、お願い。





 痛みを消す方法を、教えて。