大人オリジナル小説

Re: 私って、生きてる意味、あるのかな。 ( No.22 )
日時: 2012/07/16 12:02
名前: 香月

No.14 「怖い。」




 「……こんなに苦しいんだったら、生まれたくなかった」

 私はポツリと言った。


 この青年に言っても、どうしようもないけど。



 それでも。


 一人でいい。少しでいい。

 私のことを、記憶の片隅に留めてくれたら。


 それが、私の最期の望み。



 「もしお母さんが死んでしまわなかったら、私は幸せになれた?

 もしお父さんが再婚しなかったら、私は今頃笑ってた?

 もし私が私じゃなかったら、これからも生きていこうと思ったかな。

 ……そういうこと、何度も考えて。
 でも、考えるだけ。どんなに願っても、叶わない。

 だから私、もう逃げよう、と思ったんです。
 途中で逃げ出すなんて、卑怯だけど。

 でももう耐えられないんです。


 傷だらけで、傷が治らなくて。



 ……だから―――」


 瞬きした瞬間、涙が溢れ出した。


 


 ずっと、我慢してた。

 でも本当は、苦しくて。辛くて。耐えられなくて。悔しくて。みじめで。悲しくて。寂しくて。痛くて。




 ものすごく、怖かった。




 でも、誰にも言えなかった。


 誰にも。



 やっと、終われるんだ。
 もう、苦しまなくていいんだ。


 そう思うのに。



 やっぱり、怖い。


 『私』が、なくなってしまう、のが。









 大丈夫、僕がずっと一緒にいるよ。

 いや、来ないで。

 どうしてだい?

 ……あなたのことが、怖いから。


 みんなみんな、怖いから。