大人オリジナル小説

Re: 私って、生きてる意味、あるのかな。 ( No.23 )
日時: 2012/07/20 11:10
名前: 香月

No.15 「せめて。」



 「……俺、前から思ってたんだけどさ」

 青年が、いきなり話し出す。


 「なんで、最初から逃げた人より、途中で逃げ出した人の方が責められるんだろうね?」


 そう言って、私を見る。


 「キミが責められる理由は、何もないよ。

 今まで一生懸命耐えてきた。

 それだけで充分だ、って思う」

 「……」

 「けど、自分から命を捨てるっていうのは、俺は賛成できない」



 …やっぱり。

 そう言うと思った。


 「なんでですか?……苦しいんです。

 もう生きていたって、意味がないんです」




 誰も愛してくれないなら。



 自分で消すしかないでしょう?





 いのちの灯を。




 ……お願い、止めないでよ。

 最期くらい、私の全てを受け入れてよ。




 小さな灯が消えていくのを、静かに見届けてほしい。




 せめて、あなただけでも。






 本当は一番、お父さんに見いてほしかった。


 でも、それはもう叶わないから。






 私が死んだら、お父さん、どんな顔をするのかな。


 ……泣いてくれたら、嬉しい。

 悲しんでくれるのなら、それだけで。





 それだけで、私はもう。











 人の悲しみを幸せに思うなんて、キミは最低だね。

 ……分かってるよ。
 ごめんなさい。

 いやいや、謝らないでいいよ。
 僕は、キミみたいな子を歓迎するよ。



 僕も同じ、最低だから。