大人オリジナル小説

Re: 私って、生きてる意味、あるのかな。 ( No.7 )
日時: 2012/03/24 13:25
名前: 香月

No.5 「やめて。」



 私はふいに立ち止まった。

 横には、カレーの香りが漂う家。
 明かりと、楽しそうな笑い声がもれている。


 「おかーさーん、おかわりちょうだい!」
 「はいはい、じゃあお皿かして」
 「お前は本当によく食べるなあ」
 「胃がブラックホールなんだよー」


 …幸せそう。

 いいなあ。

 私も、この家に生まれたかった。

 

 神様、もしいるのなら、教えてください。

 なんで、私にばっかり辛くあたるんですか?

 どうして、私だけ。

 ねえ、神様。答えてよ。教えてよ。



 ……私にも、愛を与えてよ。



 目頭が熱くなる。顔がゆがんでくのが分かる。

 涙が一筋、ほおを伝う。



 夜の公園は、不気味だ。
 ベンチに座って、冷えた指先を息で温める。

 
 涙は、もう乾いた。


 さて、どこに行こう。安上がりなファミレスにでも行こうかな。

 そう思って、立ち上がろうとしたとき。



 「お嬢ちゃん、一人?暇なら、おじさんと遊ばない?」


 声がした。




 やめて。もう誰も話しかけないで。

 お父さん。お父さんの声だけ聞ければいいの。

 だから、ほっといてよ。そっとしておいてよ。



 もう、傷を増やしたくないの。