大人オリジナル小説

Re: お嬢様に虐められて虐めましょう。【企画】 ( No.103 )
日時: 2012/09/30 17:45
名前: 黒猫ミシェル

「佳菜子さん、元気お出しになって…」

「お泣きにならないで…」

佳菜子とは小さい頃からの付き合いである菜々と愛美は、佳菜子を慰めに来た。
麗華様に異を唱える事は出来ないが、流石に幼馴染を泣かせたまま放って置けない。
今いるのは校舎の庭で日が当たるが、二人は気にしなかった。
優しく声をかけ、声をかけてみるも反応がない。

「ぅ…、ゆる、っせない…」

「佳菜子さ…きゃっ?」

心配になって顔を覗き込んだ菜々は、驚愕に声をあげた。
愛美も同様に目を見開く。
ギラギラ輝く血ばしった瞳に、強く噛みすぎたのか切れた赤い唇。
…憎悪で支配された顔だった。

「私に、あんっなこと、仰って…」

「か、佳菜子さん?どうなさったの?」

「今まで、家柄を考えてきましたけど…関係ないですわ」

「ご乱心遊ばせないで!!…佳菜子さん!?」

「…殺…殺してやりますわ…」

冗談に、思いたかった。
佳菜子さんが、このあと明るく笑ってくれるかもしれない…。
また、三人でお花を見ながらお紅茶を飲んで…お話をして…。
そう、思いたかった。
こんな、表情じゃなければ。

「佳菜子さん…落ち着いたら、いつもの所で合いましょう?」

「わ、私たち、待っていますわ!!」

「…」

暫く待っていたが、佳菜子は言葉を返さなかった。
菜々と愛美は顔を見合わせ、静かにその場を後にした。

*+*

二人の姿が消えても動こうとしない佳菜子の下に、影ができた。
甘い甘い、薔薇の香りが鼻を刺激する。
その香りに釣られる様に顔をあげると、見覚えのない制服が目に写る。

「お辛そうなお顔」

「…!?」

「桃子が相談に乗って差し上げますね」

訳が分からないと首を傾げる佳菜子に、桃子は優然と微笑んだ。