大人オリジナル小説

Re: お嬢様に虐められて虐めましょう。【自分投票】 ( No.146 )
日時: 2013/03/02 15:19
名前: 黒猫ミシェル

「何度言ったら分かるの!!ソコは違うって言ってるじゃない!!」

「すみません…」

「ああ、本当にイライラするわ!!」

淹れたばかりのコーヒーが、聖花の顔にかかった。
聖花は俯いたまま、ただ嵐が過ぎるのをジッと待つ。

「他の子供たちを見て。聖花さんと違ってちゃんと働いてるでしょ」

「…はい、ゆかり様」

「私、有能な子にしか興味ないの。ねぇ、あなたは誰のおかげで此処にいるのかしら?私よね?じゃあ、早く有能な子になりなさい。…好い加減捨てるわよ?」

ビクリと震えた聖花の手を、ゆかりはグリグリと踏みつけた。
周りで仕事をしている“子供たち”は、日常茶飯事だとでも言うように、ただ黙々と手を動かしている。

「お母様、そんな子後で良いじゃない」

「あら、優奈ちゃん。口を出さないでね」

「分かったわ。でもお母様?」

「なに?」

「いつになったら麗華を私のペットに出来るの?」

瞬間、優奈にニコニコ微笑んでいたゆかりは無表情になった。
この一条家で唯一我が儘を許され、特別にゆかりに愛情を注がれているのが一条優奈。
一条家の長女にて、成績優秀、容姿端麗、おまけに運動神経が良く、ゆかりのお気に入りだ。

「何をいっているの優奈ちゃん。麗華さんをペットに?ふざけないで頂戴」

「…っ」

赤いフレーム越しに睨まれ、優奈が身を竦ませる。

「麗華さんは私のモノになるの。優奈ちゃんのペットにはならない。最近あなたを甘やかしすぎたのかしら?」

「お、お母様…」

「良いのよ優奈ちゃん。別にあなたが私のお気に入りなのは変わらないわ。でもね、私のモノを横取りしようとするのは許されないの。分かるわよね?」

「もちろ ん」

今は春だというのに、冷たい空気が部屋を支配する。
子供たちも身動き一つせず、ビクビクとこの会話が終わるのを待っていた。

「ああ、それより優奈ちゃんと聖花さん。後で私の部屋に来て頂戴。話したいことがあるの」

「「!!」」

サッと顔を青ざめさせる二人に、ゆかりは細い目を更に細めさせた。

「あら、そんなに怯えなくていいのよ?ただ、これからの事について話すだけだから」

「分かったわ、お母様。直ぐに行くわ」

「…わ、私も」

「そ。じゃあ、待ってるわ」

怒られないとわかるとコロリと態度を変える優奈は、あらゆる面で精神が図太い。
もしかしたらそこも、優奈がお気に入りな要素の一つに含まれているのかもしれない。

「何固まってるのあなた達。ちゃんと仕事して」

「「・・・・」」

優奈の一言で、固まっていた子供たちも動き出した。
優奈は自室へと歩いて行ったゆかりを、笑顔で追いかけた。