大人オリジナル小説

Re: お嬢様に虐められて虐めましょう。【自分投票】 ( No.176 )
日時: 2013/08/02 16:50
名前: 黒猫ミシェル

「麻衣、麻衣、ねぇ麻衣…」

「ど、どうされたんですか、麗華様」

特待生と別れた麗華は、どうしても気分が優れなくて学校を早退した。
麗華が気分が悪いと一言言えば、まさに鶴の一声。
直ぐに担任が家に連絡を取り執事の石原が迎えに来た。
そして、今にいたるのである。

「わたくし、可笑しいんですの」

「体調が、悪いと…言う事ですか?」

「五月蝿いですわ」

「……」

理不尽な麗華の言葉にも、麻衣は内心ホッとしていた。
理不尽な物言いはいつものことだが、麻衣はまだ麗華から暴力を受けていなかった。
いつもなら、直ぐに何かしらされると言うのに。

「あの特待生のせいですわ。…こんなに、胸が苦しい。ぎゅうって締め付けられる…」

「麗華様…」

「今日は呆れた視線を向けられましたわ!!…悲しかったですわ。わたくしにあんな態度とるなんて…。いつもなら、兎にしてあげますのに…何故かしら。…したく、ないんですの」

麗華の顔が、苦しそうに歪む。
自分でもこの気持ちが何なのか理解出来ず、混乱しているみたいだ。
少し潤んだ瞳で、麻衣を見る。

「麻衣、わたくしはおかしくなってしまったのですわ!!あの特待生のせいで!!ねぇ、麻衣?麻衣もそう思いますわよね??」

「麗華、様…」

何かを期待するその顔に、何て言葉をかけて良いのか。
麻衣には、麗華が無意識に欲している言葉を分かっていた。
しかし素直にソレを麗華に告げれば、一もなく一蹴されてしまうだろう。

「麗華様は…その特待生の方と話される時、どう感じますか?」

「どう…?」

少し考え込む麗華。
自分の中で、言葉を整理しているみたいだった。

「そう、ですわね…。
話せた時には嬉しいと感じましたわ。
呆れた視線を向けられた時はとても、とても切なく思いましたの。
特待生が他の人達と話されているのを見ると、無性に腹が立ちますわ。
それに…わたしくしの時にはそんな笑顔見せないのにって、悔しかったですわ」

一度話すと止まらなくなったのか、麗華の赤い唇からはとどめなく言葉が溢れ出す。
それを麻衣は静かに聞いていた。
時節相槌を打ながら、真剣に、一言も聞き逃さないように。

「一緒に過ごせたら、楽しいのではないかと思いましたの。
わたくしの事を知って欲しいと思いましたわ。
特待生の事も、たくさんたくさん知りたいですわ。
麗華って名前で読んで欲しいですし、名前で呼びたいですわ。
でも、でも、"また"裏切られたと思うと…怖いんですの……とても」

チクリと、麻衣の胸が痛む。
元はと言えばそう、自分が悪いのだ。
あの時に麗華を裏切らなければ、麗華の見方になっていれば。
麗華がここまで歪むことはなかっただろう。
あんなに、優しくて強くて真っ直ぐな人だったのだ。
こんなにしてしまった、自分が責任を取らなければ。

「麗華様…」

「…何、ですの?」

「麗華様はもしかして……





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