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第一章　日常崩壊


新しいクラスにも大分馴染み、女子にありがちな仲良し同士でのグループができはじめた六月半ばのある日、今年最大ともいえる事件が起きました。
私達のクラス…二年三組でのイジメが発覚したのです。
ターゲットは、クラスでも特に大人しい、結崎南子。
決して目立つタイプではありませんでしたが、自分よりも他人の事を気に掛ける、とても心の優しい子です。
その性格と、穏やかな微笑の似合う可愛らしい顔で、南子は男子だけでなく、女子からも人気でした……そして、私の大事な可愛い幼馴染。
今思えば、何故私は南子の異変に気づいてあげられなかったのでしょう。
そうすれば、あんな事にはならなかったのに。


南子がイジメを受けたのは、なんと入学して一週間もたたないうちからでした。
加害者は一年生の時も似たような事をして、かなり問題視されていた女子生徒三人。
理由は、皮肉にも彼女の温厚な性格でした。
三人は…イジメや嫌がらせと呼ぶにはあまりにも酷い事をしました。
制服を無理やり脱がせて写真を撮ったり、制服を着たままでは見えにくい背中などをカッター等の刃物で切り付けたり・・・と、精神的にも肉体的にも辛い仕打ちを何度もされたのです。
それを、三か月もの間耐えてきた南子の事を思うと今も涙が出そうです。
……しかし、私達の復讐のターゲットはその三人ではありません。
彼女達は今、少年院の施設の中にいるはずですから。
それよりも、私が…いえ、私達が憎いのはそれを学年中にさらし、彼女を登校拒否にまで追い込んだ担任の女教師です。
あの女がいなければ、南子はまた安心して学校に来られたはずなのです。