大人オリジナル小説
- Re: 1年B組の悪魔 ( No.3 )
- 日時: 2012/08/07 23:09
- 名前: テントウムシ ◆uyBOASgJA6
【第二話】恩田悟SIDE
また始まった……
俺は心の中で呟いた。あくまで心の中で。
4時間目が終わり昼食の時間も終わると、堀川先生は教室から出ていく。
教育実習生の波多辺ちゃんも、そのあとについて職員室に向かった。
職員室は2階の端っこにある。このクラスは5階の真逆側。
隣にはA組があるけど、星麗学園は変なとこまで防音が極められていて例え隣のクラスでも、声なんてほとんど聞こえない。
なんで防音なのかって?
さあ……元が音楽学校だったからじゃない?
詳しいことは俺も知らない。
まあとにかく、先生がいなくなると始まるわけだよ。例の『あれ』が。
今日も波多辺ちゃんがいること以外はいつもと同じ光景だ。
浅田の人が変わるとか……そんなことは思わない。
彼女はいつも通りだ。
優しくて
可愛らしくて
上品で
友達思い
そんな女の子をいつも通り『演じている』
『演じる』という行為をしながら、『あれ』のほうも実行するんだ。
今日はまたひどかった。
もはや茶色く濁った水を戸川がバケツいっぱいにくみ、それを船川の前においたんだ。
飲めという畏怖の念を込めて。
浅田と常に行動を一緒にしている宮浜が、彼女の『命令』で動いたときに、命が窓を閉めた。
さすがに窓が開いていたら、防音じゃなくなるとでも考えたのかもしれない。
だったら命がしめることもうなずける。
悲鳴だか叫び声だかが漏れれば、今までやってきたこともダダ漏れだからさ。
でもこれは、浅田が『命令』したわけじゃない。勝手に命は閉めたんだ。
アイツの『窓を閉める』という単純な行為を見たとき、俺正直思ったんだ。
あーあ……汚染されてるなって。
気づいてもらえればそれですべてがすむはずなのに、クラス全員で証拠隠滅の道を歩いてる気がする。
……でも、
俺もまた、たくさんの傍観者の一人にすぎないんだけど。
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