大人オリジナル小説
- Re: 昨日の毎日、明日の…… ( No.79 )
- 日時: 2013/03/24 17:01
- 名前: ルゥ
〈間章〉
『狩りをする熊の話』
ああ、お腹がすいた。
もうすぐ冬が来る。
秋は冬眠の準備で忙しい。
キノコや木の実じゃ足りない……、もっとたくさん食べないと冬を越せない。
あ、ヤマネコだ。捕まえよう。
急がないと冬が来てしまう。
ああ、足りない、足りない。
冬が来る前に穴を掘って冬眠の準備をしなくちゃいけないのに、全然食料が足りない。
もっといっぱい食べないと冬の間に死んでしまう。
そうだ、川へ行こう。
秋はサケが川を上って来るはずだ。
うまくいけば、冬眠して冬を越せるはずだ。
川へ行こう、サケが全部行ってしまう前に行こう。
急がなきゃ。
川、川、川についた。
ゴウゴウと音を立てる激しい流れ。
中まで入ったら流されるから、なるべく岸に近い浅い所で待ち伏せをしよう。
あの小さな滝の近くは、サケが飛び上がる場所だ。
よし、あそこで待ち伏せしよう。
!! 来た!
銀色の背中を輝かせて、サケの群れが上ってきた!
飛んだ!飛んだ!あちらこちらでサケが飛ぶ!
目の前をたくさんのサケが飛んで、一匹、二匹と自ら口に飛び込んでくる!
ああ、美味しかった。
これで冬を越せる。
明日はいよいよ穴を掘って眠りに入ろう。
春までの長い夢の世界。
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