大人オリジナル小説
- Re: その人の花は枯れていく。 ( No.14 )
- 日時: 2013/05/05 14:05
- 名前: 来夏 ◆2ZBHn0dH/Y
episode 正樹賢吾
どこでもいじめは起きる。
でも俺は、いじめが嫌いだった。けれど、俺は止めていない。
「……これって、証拠になるのか?」
個室を与えられた俺は、ベッドに座ってノートを開いた。それは、俺のクラスでのいじめの事。
日にちも、ちゃんと書いて、その日のターゲットの事や小島達の暴言を書いている。
いじめは、こういう証拠を残したりすればまだいいらしい。
けれど小島達は、暴力や悪戯をしていないので、写真を撮る事は出来ない。
「……次はボイスレコーダーか」
俺は、馬鹿げている事をしているあいつ等のいじめを止めたかった。
でも俺は、一人で居る。だから、止めても予想は出来ている。逆に自分が危ないかと思う。
だから、こうやってちまちまと証拠をそろえている。
明日からはボイスレコーダーで証拠をさらにそろえる。
今は無理だけど、いずれ酷くなった時にこれを見せればきっと止められる。
あの学校の先生達が、信じるかどうかは別として。
「藤原先生に見せてから……か。難しいな」
そう呟いた時、ドアをノックされた。
「お兄ちゃんー。"翼をください"のCD貸してー」
「ちょっと待ってくれ」
妹の未来(みく)だったか。
俺は立ち上がると机の上に置いてあった、CDを手に取った。
「未来、何でこのCD?」
ドアを開けながら、俺はそう聞いた。
未来はセミロングの髪を揺らしながら、こう答えた。目つきは鋭いが、これが素だ。
「んー。この曲気に入ってるから」
そう言いながら、CDを受け取る。
「お兄ちゃん、ありがとー」
そう言って、未来は笑った。嬉しそうに鼻歌まで歌いながら。
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