大人オリジナル小説

Re: その人の花は枯れていく。 ( No.3 )
日時: 2013/02/17 12:02
名前: 来夏

 episode  和川麗


 幼馴染と友達が、虐めのターゲットになってからウチのクラスも少し調子に乗り出した。
 いや、クラスじゃなくて、あいつ等が。


「麗、じゃあな」
「また……後で」
「うん。杏子、大和。またね」


 右手を振って、あたしは教室へと入る。そしたら−−ほら、これだ。


「うっわ、きもー」
「いつも読書ばっかしてて、気持ち悪いわー」
「頭悪い癖に、いい子ぶってるんだろ」
「うわ! 秀哉きっつ!」


 自分達以外の人間は、見下しているあのグループ。毎回ターゲットを変えて、こうやって悪い意味の言葉を口にしている。


 ――そしてターゲットは、千葉か。


 悪口を言われている千葉の背中は、少し震えていた。しかし表情は無表情だった。
 そんな千葉を見ていた時、あたしは話しかけられた。


「麗、おはよー」
「おはよう」


 毛先が跳ねた、栗色のショートカット。半袖のベージュのベストを着ていて、ネクタイを着けている。
 そんな外見の女子、日向明日香。一年から通っておらず、二年から通い始めたあたしに、唯一話しかけてくれた女子だった。


 “天才少女”と呼ばれてるけど、本人は気にしても居ない。ただ、スポーツが好きで一通りやっただけらしい。


「……相変わらずだね」
「そーなんだよね。まぁあいつ等より、停学になったあの人の方が悪い方だとは思うけどさ」


 小声で話しながら、席に着く。ちょうどあたしと明日香は、前と後ろの席で、授業中に良く手紙交換をしたりしている。
 たわいもない事だけども。


「千葉さんー、そんな本ばっか読んでて頭おかしくなんないのー? いや、すでにおかしいか!」


 あんたの頭がおかしいよ。小島。


 そう思いながら、あたしは「はぁ」とため息をついていた。