大人オリジナル小説
- Re: 椅子取りゲーム ( No.3 )
- 日時: 2012/11/12 22:07
- 名前: 小説馬子
慣れない朝の礼拝を終わらせ、私は礼拝堂から校舎へ移動していた。
「みきーっ!」
後ろから、キリスト教という優雅なイメージに結び付くロングワンピースで全速力で走ってくる少女がいた。
荘厳な礼拝が終わったばかりで、周りは静かに移動してるのに……あーもう皆見てる。
人目を気にせず、こちらに全力ダッシュしてくるのは水島三咲(みずしまみさき)。
茶色がかった黒髪ボブで、小顔で鼻がすっととおり、目はくりくりしててかわいい系美少女。
私と三咲は入学式にいきなりケータイを鳴らしてしまった(後に知ったが二人ともDCMというブランドのメルマガだった)のがきっかけで入学式から仲良し。
同じバトミントン部にも入っている。
勉強も、運動もできない私に比べて、三咲はなんでもできた。
小テストは常にクラス五位以内、部活は中一でたった一人今度の試合の選抜メンバーに選ばれた。
「……ねぇねぇ、聞いてる?
次って代数だよね?みさき、菅野センセー嫌い。みさきのことばっかり指名するんだもん。」
三咲がぼーっと思考していた私の顔を覗きこんで言った。
「きっと、三咲のこと気に入ってんだよ。」
ウチは三咲に苦笑いでこたえる。
「おぅ!みさきとみきじゃん。おはー。
朝の礼拝、超だるいわー。」
「ゆいな、二人はラブラブカップルなんだから、邪魔しちゃだめだよ。」
如月結菜(きさらぎゆいな)と長森千里(ながもりちさと)だ。
二人は三咲とは対称的にクール系美人。三咲とは小学校からの同級生なんだって。
……にしても、三咲、結菜や千里だけじゃなく、この学校は何故か美人が多い。
それに比べて私は……
校内には悪魔除けの鏡がたくさんあるのだが、その一つを覗いてみる。
運動部なのに丸い顔、団子鼻、ニキビだらけの頬、腫れぼったい目。とても醜い顔。
私がここを受験したのも、いじめへの対処がいいって評判だったから。
「……みき?みきーっ?聞いてる?
なんか今日すごくぼーっとしてない?
熱でもあるんじゃない?保健室ならあたしがついてってあげようか?」
「菅野の授業休みたいだけでしょ、ゆいな。」
「千里のツッコミのはやさは本当舌を巻かれるよ。
大丈夫、ちょっと生理的な事情があってトイレ行きたいから先に教室行ってて。」
「ってか、生理的事情ってもう事情の中身いってんじゃん。」
千里のツッコミが聞こえたけど、ほんとに漏れてるか心配なのでトイレへダッシュ。
「ちさと〜。今のツッコミはつまんなかったとみさきは思うんだけど。」