大人オリジナル小説

Re: 椅子取りゲーム ( No.5 )
日時: 2012/11/16 08:42
名前: 小説馬子  


「ごめんね、みき。聞こえちゃった〜?
友達だから言いたいことは言わないとね。
溜め込んじゃうと、後が辛いよ?」

結菜がこちらをまっすぐ見て、薄笑いを浮かべる。

私は何を言えばいいの……。私は小学校のころからいじめられてたから、友達付き合いがわからない。

ここでうまいこと言えばこの空気を脱出できるかもしれない、しれないけど……

「信じられない。陰で友達の悪口を言うなんて……。
あなた達、ほんっと最低。」

そんな言葉が、気付けば出ていた。

「みき!あんたこそサイテー。」
「友達を最低呼ばわりする人こそ最低じゃん。」

「うるさい、結菜、千里。私はさっきあなた達に傷つけられたのは紛れも無い事実。
どうなのよ、みさき!」

「えっ?何のこと?みさき、何もしてないよ。
みさき何かした?」

みさきの隣で結菜達がくすくす笑う。
しらを切るつもりなの?

「私と一緒にいたくない、って言ってたじゃない。」

「えー?みさきそんなこと言ったっけ?
言ってたとしても、これくらいのことでそんなにキレなくてもいいんじゃない?」

三咲は隣にいる二人の顔を見る。
二人は何の躊躇いもなく首を横にふった。

「そうだよ。みさきの言う通り。
こんなことでもめてたら、女子校生活できないよ?」

千里が笑う。楽しそうに。

他の生徒の声が聞こえてきた。もうすぐ、私達以外の人達も来てしまう。

「わかった、みき。そんなに言うなら、みさき達に証拠見せてよ。」

証拠なんてあるわけない。テープレコーダーで録音してるわけでもあるまいし……

「みき、ほら早く見せてよ。」

「みき〜。もしかしてないのかなー?」
「ゆいな、だめだよ。これ以上追い詰めちゃ、自殺しちゃうかもよ。みきちゃんは淋しがり屋さんだからねー。」

カツカツとハイヒールが床を叩く音が聞こえた。先生だ。

続いて、ざわざわと生徒の声。

「先生きちゃったー。みさき、成績は下げたくないから授業の準備するね。」

そう言って三咲がロッカーへ去ると、結菜と千里もどっかへ行ってしまった。

そして間をはかったように、先生が教室に入ってきてこの始まりの朝休みは終わった。