大人オリジナル小説

Re: 椅子取りゲーム ( No.37 )
日時: 2013/01/06 22:12
名前: 小説馬子 ◆MiJ.aMrglc  


「先日保護者から連絡があったのですが、このクラスにはいじめがあるようです。

そこで皆さんには『いじめについてどう思うか』を原稿用紙三枚に書いてもらいます。

では、各自原稿用紙を取りに来て!!
提出は、この時間の最後だから早く書き始めないと終わらないよ!!」

 ……おい。そんな方法でいじめが終わると本気で思ってるのかよ。

 どうせ、チクった犯人探しが始まるに決まってる。

 皆、原稿用紙は取ったものの裏に落書きしてる者、自習してる者がほとんどだ。

 でも、皆共通してるのは辺りをニヤニヤしながらキョロキョロしてること。

 あっ。亮太と目があった。

『けんすけ』

 亮太は口パクで首を傾げながら言う。

 俺は首を振りながら、

『あいつにはそんな度胸ねぇよ』

と嘘つきつつ否定する。

 違う絶対あいつじゃない!!自分が言ったら自分はもちろん、吉田いじめが悪化するのもわかってるはずだ。

『えっ?』

 亮太は耳に手をあてて、聞こえないジェスチャーをする。

『あとで』

 俺はそう言って、原稿用紙に向かった。

『いじめについて

永瀬祐樹

このクラスにはいじめがあります。』

 これが一枚目。

『このクラスはもう止まれないかもしれないほど狂ってる』

 これが二枚目。

『先生、どんな手段でもいいから……健介と吉田を助けて』

 最後に三枚目。

 そして、ただ黒板に書かれた『いじめ』を眺めて、チャイムが鳴るのを待った。

 先生が想像するいじめはこんな紙三枚で書ききれることだと本気で思ってるんですか。

 そんな簡単な話だと思ってるんですか?

 チャイムが鳴る。
 こんなクソな授業が終わる。

「はい、後ろから集めて来て〜!!」

 みんな、落書きした原稿用紙や白紙の原稿用紙を出しているが、俺は出さなかった。

 先生が教室から出てくと同時にビリビリに破いて、ごみ箱に捨てた。




……HRはホームルーム、クラスで話し合ったりする時間だと認識してくれれば結構です。