大人オリジナル小説

Re: 世界はこんなにも――― ( No.7 )
日時: 2013/07/07 22:29
名前: ミム

5話


私はその場を立ち去ると思いっきり屋上への階段を駆け抜けた。


「はぁはぁはぁはぁ―――」


疲れた…

あたりを見回すと今日は真っ青な青空でだけど私の心は曇っていた。


「こんな空無くなればいいのに…」


なんて―――


「貴方も同じね。」

「え?」


思わず声が出てしまう。

後ろを振り向くとそこには朝私が声をかけようとしていた女の子がいた。


「あのっ、えっ…と、あ―――」


言葉が詰まってしまう。
だって何をしゃべればいいのか分からないの。


「はぁー」


えっ、ため息つかれた?


「あのさ、そう言うの止めてくれない?うざいから」

「えっ…」


そういった頃にはもう彼女はいなかった。

まるで嵐みたいな人だ。
突然現れて突然消える。

それにしても綺麗だった。
真黒な長い髪にパッチリとした目、鼻筋の通った鼻、形の整った唇、まるで雪のように透き通った白い肌。
彼女そのものが人形だった。

だけど私は彼女の目に何も映っていない事にも気が付いていた。
だから人形だと思ったのかもしれない。

私はその瞳にいつか何かを映したいといつからか思っていた。


5話 完