大人オリジナル小説

Re: 死んでもいいかい? ( No.11 )
日時: 2012/12/04 20:31
名前: カナリア ◆StaIqxr34U

チャイムの音がなると、みんな自分の席についた。それと同時と言ってもいいほどぴったりに担任が教室に入ってきた。
担任の話を適当に聞きながら、私は読書をしていたが、さっきまで読書をしていた真希の方を見ると、真剣に担任の話を聞いていた。どんなふうに育ったらそこまでまじめになるのだろう。と思いながらも、私はまた読書をはじめた。
先生が配った学級通信には、大きな字で、入学して今日で11ヶ月と書かれており、もうそんなにたつのか、と入学式のことを思い出す。
友達がほしかった私に声をかけてくれたのは真希だった。ただ「おはよう」と言ってくれただけだったが、とても嬉しかった。
それから話すようになったが、真希は本当に優しい性格だった。しかし、それと同じぐらいの人見知りなのだ。今でも、私以外のクラスメイトとはまともに話すらできない。
それをふまえて今考えてみると、入学式の日の「おはよう」は、私なんかでは考えられないほどに頑張ったのだろう。そして、真希があの時頑張って勇気を出してくれたおかげで私と真希は今では親友と言ってもいいほど仲がいい。
私はあらためて真希に心の中で感謝し、真希の方を見た。学級通信をすみからすみまで読んでいるのだろう。真希は私に見られているとは気づかずに手に持っている学級通信を見ている。
私はあきれたような顔で少しにこっと笑うと、また本を読んだ。
私が読書に集中していると、あっという間に時間は過ぎ、朝の学活終了を知らせるチャイムがなった。
真希は手に持っている学級通信をクリアファイルに入れると、私の方を見た。私も本にしおりをはさみ、真希の方を見た。

「どうかしたの?」

何気なく真希にそう聞くと本をカバンの中へいれた。

「あのね、今日で入学して11ヶ月もたつんだって!」

自慢げにそう言ってきた真希を見て、私は少し笑ってしまった。
真希は、ビックリしたような顔で私をじっと見ている。

「知ってるよ、書いてあったんでしょ?学級通信に」

「え!?見てたの?本読んでたから知らないと思ったのに‥‥‥‥」

そう言っておちこむ真希に私は時計を指差して少し早口で言った。

「それより、次は理科室に移動だよ。急がないとこのままじゃ遅刻」

「え!?うそー!早く言ってよ!」

そう言いながら真希は急いで教科書を机から出す。
私はこんなふうに楽しい毎日を真希と過ごしながらも、リスカのことが真希にバレてしまったら、と不安におしつぶされそうだった。
腕にまた増えてしまった傷が真希に気づかれた時、きっと私は真希に嫌われる。