大人オリジナル小説

Re: 【壊れた教室】そこに居たのは、 ( No.21 )
日時: 2014/02/15 13:07
名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU

 教室に、沈黙が流れ始める。それは今までの静けさとは違う、暗くて重苦しいものだった。
 紗希ちゃんは少しだけ困惑の表情を浮かべたが、すぐにいつもの無表情に戻る。
 そして、紗希ちゃんは席に向かって歩き始めた。その足取りはとても速い。まるで何かに追われているみたいだ、と思う。
 いや、実際そうかもしれない。
――だって、"紗希ちゃん"は。

 この時を待っていた、と言わんばかりに誰かが言った。
「友達の彼氏奪っといて、よく学校来れるよな」
 それに同調して、別の誰かが波紋を広げる。
「ホントホント。真里が可哀想だよね……!」
 紗希ちゃんが水面で、石は悪口……。水面に石が投げ込まれて、どんどん波紋は広がっていった。
「ウザすぎでしょ、アイツ」
「ねえ、超キモくない?」
 わざとらしく大声で放たれたのは、そんな悪口の数々。きっと、本人に聞こえる様に言っているのだろう。
……どこか張り詰めた空気の中を、紗希ちゃんは無表情で歩いていく。