大人オリジナル小説
- Re: 【壊れた教室】そこに居たのは、 ( No.34 )
- 日時: 2014/02/17 14:36
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU
バツが悪そうに無言を貫き通す中村君に、あちらこちらからヤジが飛び始める。
「浮気するなんて最低だよね〜!」
「そうだ、謝れよ!」
「本当に真里が可哀想! せっかく幸せになれたのにさぁ……」
中村君は皆を睨みつけるが、効果は全くと言っていい程無かったようだ。皆はそれに怯む事すらしない。そして、ヤジは更に加速していく。
そんな状況に痺れを切らしたのか、突然大声で中村君が叫んだ。
「あんな奴っ……紗希は、ただの幼馴染だよっ! 最初から付き合ってなんかねぇっての! 大体、あっちが勝手に告白してきただけで……!」
早口で一気にまくし立てる中村君。その声は、こんなに騒がしい中でもよく通る程に大きい。
……ところが、その言葉は最後まで続かなかった。
私はそれに驚き、原因を探る為に中村君の方を見た。すると中村君は驚いたような表情で、どこか一点を見つめている。
その事に気づいたのだろうか。次々と、周りの皆が振り返っていく。
私もおそるおそる振り返る。中村君が見ているのは、一体何なのか――それを知りたかったから。
するとそこには、理科の先生が鬼のような形相をして立っていた。
……さっきまでの騒がしさが、嘘のように消えていく。
PR