大人オリジナル小説

Re: 【壊れた教室】そこに居たのは、 ( No.38 )
日時: 2014/02/17 14:45
名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU

 とは言っても、まるで図書館の様に静かだとかそういう訳ではない。先生が居ないのを良い事に、理科室は大勢の話し声で溢れていた。
 大勢の人が話しているからあまり聞き取れないけれど、会話の内容は主に3つ。誰かの悪口や陰口、噂話。それからさっきの騒ぎについての話。
 当然だけど、それらを聞いて私の気分が良くなる事は無かった。
 私の気分は悪くなるばかりで、そしてとうとう襲ってきたのは今も止まない頭痛と耳鳴り。

 せっかくあの居心地悪い教室から逃げ出せたのに、これでは教室と変わらないじゃないか。それどころか、教室よりも酷くなっている。
 私は心の中で深い溜め息をつきながら、暇つぶしに教科書を適当に読む。
 一刻も早く、この状況が終わって欲しかった。
――説教も悪口も陰口も、私は全部大嫌いだ。

 やっと説教が聞こえなくなり、先生がいつも通りの笑顔で理科室に入ってきたのは、その3分後くらいの事だった。
「遅れてしまってすいません。これから授業を始めるので、日直の人は挨拶宜しくお願いします」
 さっきまで怒鳴り散らしていたとは、到底思えない程に優しい響きを持つ、そんな先生の声。
 先生の一言で騒がしかった教室は一気に静まり、慌てて日直の人が挨拶を始めた。