大人オリジナル小説

Re: 【壊れた教室】そこに居たのは、 ( No.39 )
日時: 2014/02/17 14:49
名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU

 挨拶が終わってすぐに、先生は今日行う実験についての説明を始めた。
 あの男子の説教で、すっかり授業を始めるのが遅くなったせいか、その口調はいつもより早い。
 私の席からは先生の顔がよく見えるのだが、先生はいつも通りの完璧な笑顔を浮かべている。
 何だかそれが怖くて、私は内心怯えていた。そしてどうやら、それは他のクラスメートも同じようだった。
 いつもなら実験と聞いただけで喜んでふざける男子も、今日は反応が薄い。しかしそれも当然の事だろう。

 先生は怒鳴った後も、いつも通り皆に優しく振舞う。けれど内心はすごく腹を立てていて、誰かがまた先生を怒らせるような言動をしたら大変な事になってしまうのだ。
 実際に私のクラスではそれが起こってしまったという事もあり、皆は先生を優しいと思いながらも恐れている。私もその中の1人だ。

「はい、それでは各班の班長が前にある実験道具を取りに行って下さいね。大変そうだったら他の人も手伝ってあげて下さい。準備が終わったら各自実験を始めてください。なるべく手短にお願いします」

 先生の説明が終わると、指示された通りに各班の班長が動き出す。私を含め他の人は、実験の邪魔にならないよう教科書を机に備え付けの棚にしまったりしている。
 そんな時――耳鳴りがよりいっそう強くなった。