大人オリジナル小説
- Re: 【壊れた教室】そこに居たのは、 ( No.61 )
- 日時: 2014/03/03 23:36
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU
番外編 「とある少女の話V」
一瞬だけ、思考が停止した。
後ろの方から聞こえてくるのは、明らかな嘲笑。それが私に対しての物であると理解する事は容易だった。
そして、私の目に映るのは――隙間なくびっしりと、タイルでも敷き詰めるかのように刺さっている画鋲。それは間違いなく、歩いていて間違えて踏んでしまった、などという類の物では無い。
その事は誰の目から見ても明らかで、だからこそ私はこれが"嫌がらせ"であると瞬時に理解する事が出来た。
一体誰がやったのか、なんて分かりきった事は聞く必要も無いだろう。後ろの方で笑っている、あの人達だ。靴を隠したのも、画鋲を刺したのも全部。
……ある程度、予測していた事ではあるのだが。やっぱり、ショックな事ではある。嫌がらせ以上に、"あの人達"に裏切られた事がだ。
前はあんなに、仲が良かったのに。あのメンバーで、一緒に遊んだりとかもよくしていた……それなのに。
今は皆が、私を嘲笑い嫌がらせをして楽しんでいる。
仲が良いと思っていたのは、私だけだったのだろうか?
頭の中に次々と浮かぶ、"裏切られた"という思い。だけど、今はもう……あの人達に対する怒りは浮かんでこない。
もはや怒りを通り越して、諦めにも似た感情が私の心を支配していた。
……これは、仕方のない事なんだ。
だって私は今、クラスで一番嫌われているから。それ相応の事を、してしまったから。
それくらい、自分が一番分かってるよ。今でも後悔してる。何であんな事、してしまったんだろうって。でも……どんなに変えたいと願っても、過去は変えられない。
私は、この現状を大人しく受け入れるしかない。しかしそれも、当然の事だろう。
全ては自分が招いた事で、私はその罰を受けているだけなのだから。
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