大人オリジナル小説

Re: 【壊れた教室】そこに居たのは、 ( No.65 )
日時: 2014/02/21 10:42
名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU

番外編 「とある少女の話W」

……だから、仕方ない。
 私が悪口を言われるのも、物を隠されるのも、嫌がらせを受けるのも、全部――。
 それに今更足掻いたって、どうにかなる訳でもない。
 先生に言う? それとも、親やカウンセラーの人に相談する? 
――そんな手段を取ったところで、私が犯した過ちを完璧に消し去る事は出来ない。
 例え、この嫌がらせが無くなったとしても……結局はその程度の結果しか残せないんだ。
 私とあの人達の間に出来た溝は、きっと一生埋められない。

 靴の裏側が上になるようにして片手に持ち、空いている方の手で刺さっている画鋲を1つずつ取り除いていく。
 外した画鋲は、教室の備え付けの棚にある画鋲を入れるケースに入れる。そんな単純作業を繰り返しながら、私はただひたすらに耐えていた。
 何度も繰り返される、嘲笑とわざとらしい悪口に。

「あいつさぁ、さっきから何やってんの? 超気持ち悪いんですけど〜っ」

 聞き慣れた声――真里の声が私の耳に届く。盗み聞きなんてする必要もないくらいの大きな声だ。
 おそらく、私に聞こえるように言っているのだろう。

「しっ! 見ちゃダメ。目が腐っても知らないわよ」

 次に反応したのは結花だった。まるで子供に言い聞かせるような声色だが、それに嘲笑が込められていないはずは無い。
 その証拠に、結花の発言の後には大勢が笑っていた。