大人オリジナル小説

Re: ――いつかきっと、受け止めて ( No.93 )
日時: 2014/02/15 13:13
名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU

番外編 「とある少女の話Y」

 1つ夜を超えるごとに、私の居場所は少しずつ無くなっていった。
 人から人へと噂が広まるのはとても早く、廊下を歩いているだけで訝しげな視線を向けられる。
 通りすがりに殆ど面識の無い人から、「キモい」「臭い」などの悪口を言われる事も珍しくない。

 最近では、同じ生徒会や合唱部の人達まで私を避け始めている。
 誰ひとりとして、私と目を合わせようとはしない。仲の良かった子に部活の事で質問をしても、嫌な顔をされ当然のように無視される。

 避けられている……と言うよりは、関わらないようにされている、と言った方が正しいかもしれない。
 誰だって、腫れ物には触れたくないものなのだろう。だから、その事を責める気になど到底なれはしなかった。

 そして楽しかった思い出は、いとも簡単に崩れ去る。
 まるで波にさらわれた、砂のお城のようだった。