大人オリジナル小説
- Re: ――いつかきっと、受け止めて ( No.97 )
- 日時: 2014/03/18 21:58
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU
ようやく教室に戻った私達を出迎えたのは、ひんやりとした冬の冷たい空気だった。
周りのクラスメイト達は寒い寒いと呟きながら、各自自分の席に戻っていく。私もその流れに則って、窓側にある自分の席に座る。そして私が教科書をしまっている間にも、教室に居る人は確実に増えていった。
皆が言う通り、さっきまで誰も居なかった教室は底冷えがする。椅子も机も、教室にある何もかもが冷たくて。私は寒さに耐え切れず、思わず身震いしてしまった。
そんな時……喧騒を掻き分けるようにして鳴った、ありふれたチャイムの音。タイミングを見計らったかのように先生が扉を開け、教室に入ってくる。
「もう帰りの会でしょ! ほら、さっさと座りなさい!」
先生の甲高い声が教室に反響し、何人かの生徒が慌てて動き出す。
私は早鐘を打つ鼓動を沈めるように、深く息を吸い込んだ。
……久しぶりに頑張って絵を描いたせいか、肩が凝って仕方がない。それに少しだけだが、手首が痛むような気もする。
気分転換に軽く首を回してみると、小気味良い程にボキボキという音が鳴った。だがいつものような爽快感は得られず、逆にストレスだけが溜まっていく。
口にこそ出さないものの、既に私の脳内は"疲れた"という文字で埋め尽くされていた。
出来る事なら、このまま机に突っ伏して寝てしまいたい。そうすればどんなに疲れていても、起きればまた元気になれるような気がした。
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