大人オリジナル小説

Re: 過去という名の鎖 ( No.4 )
日時: 2014/02/18 00:35
名前: 雅 ◆cx/rWkDC1s




第1章


―高校生―


4月9日。春。


「茜〜!7時よ!起きなさーい!」

「…んっ…」


1階から響くお母さんの声を目覚まし代わりに、深い眠りから目を覚ました。
いつもならこの後もベッドの中に放り込むんだけど今日はそうはいかない。

まだまだ眠い体を起こしながら1階へと続く階段を下りた。


ガチャ

「おー、おはよー」

「お姉ちゃんおはよ!」

「あら、珍しく早いじゃない」

リビングのドアを開けると、既にあたし以外の家族は起きていた。

「んー」

眠気のせいか、まともな返事もしないまま洗面所へ向かった。

あたしの名前は牧野茜(まきのあかね)。

家族はお母さん、お父さん、妹の栞の4人家族というごく普通の家族。

栞はまだ小学3年生と子供。
あたしは…今日から念願の高校生だ。

“高校生”と聞いたら、結構気分があがって。
9年間という地味に長い義務教育を終え、解放感で溢れる。

高校は楽そうなんてイメージもある。
まぁ確かに中学校に比べたら違いさは相当あるだろう。

「茜ー、高校生だからって遊んでばっかじゃだめよ?
ちゃんと勉強も頑張ってね?」

洗面所から戻って制服に着替えたあたしは、朝食をとっていた。
あたしが涼しい顔をしていたからかお母さんが口を開いた。

「大丈夫大丈夫。一応真面目だし」

「さすがお父さんの子だ!頑張れよ!」

「お姉ちゃん頑張ってね!」

無駄にテンションの高いお父さんと何気に姉思いの栞に励まされ、

「じゃあ行ってきます」

「「「いってらっしゃ〜い」」」

歯磨きを済ませ、家を出た。



―――今日から…高校生…。

実感はあまりないけれど、


…やっと“あの学校”から抜け出せたことが一番嬉しかった。


あの事は、家族誰ひとり知らない。
言ってないんだから。

…でももう言う必要はないんだ。

ついに、卒業できたんだ。


あたしは今日から新しい人生をスタートさせる。
もうあんな思い、二度としたくない。

あたしは…上手に生きていく。













―――この時のあたしは全然思いもしなかった。


まさかまた・・・

道を踏み外すことになるなんて。


思いたくもなかった・・・。