―友達―
後ろから肩を叩かれ、ゆっくり後ろを振り向いた。
「あたし、水原琴(みずはらこと)。よろしくね!」
スッと手を出してきた少女、水原さんは
胸元まであるストレートの髪で肌が白く、
とても可愛かった。
穏やかで誰にでも笑顔を振りまくような優しい素顔が浮かび上がる。
あたしも内心驚きながらも自己紹介をした。
「あ…牧野茜!よ…よろしく…!」
水原さんの手をギュッと握り返した。
それからあたし達は、どこ中だったとかお互いのプロフィールを言いあったりして仲良くなっていった。
「水原さん…、声、かけてくれてありがとう。あたし人見知りでさ…。自分から話す事できなかったから…。ホントありがとう!」
「大丈夫。今のあたしみたいに勇気だして、声かけてみて?
そうすれば、みんなとも打ち明けられるよ!」
水原さんはどこまでも優しかった。
そして暫くして先生が入ってきて、そのまま入学式だった。
名簿順に並んだので水原さんと隣同士だった。
―――――…
―――――…
入学式が終わりHRまでまだ時間があったから水原さんと喋っていた。
…そのとき。
「ねーねー!ウチ本条唯菜(ほんじょうゆいな)!よろしくー!」
あたしの後ろ、つまり席でいう前の子があたし達に話しかけてきた。
めっちゃ元気な子だな〜。
「あたし水原琴!よろしくね、本条さん」
「あ、牧野茜…!よろしく…!」
「唯菜でいいよ〜!ウチも呼びすてするから!」
本条さんはとても明るく積極的で話しに詰まらない子だった。
まるであたしとは正反対。
それが裏目にでたのか、
「アハハ!琴っておもしろい!」
「唯菜も話しやすいって!」
積極的な本条さ…、唯菜と穏やかな琴が気があったらしく2人の間に入れずにいた。
でもそれでも、
「茜はどう思うー?」
と言って、あたしも輪の中に入れさせてくれる琴がとても好きだった。
だから、
自然と笑顔になれた。
…これが、
琴と唯菜との出会いだった。
このまま楽しい高校生活が送れると、信じていた。
…そう考えるのは…全然、甘かったんだね。
まだ、あたしの苦痛な人生は始まるどころか
序章にも過ぎなかったんだ―――…