大人オリジナル小説

Re: 校内格差、【オリキャラ募集】 ( No.12 )
日時: 2013/03/22 11:38
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg

 席替えっていうのは、一大行事だ。これで学校生活がどうなるか、大方決まってくるのではないかと思う。
 私も、朝家を出るときからいつもとは少し違う緊張を感じていた。もうすぐチャイムが鳴って、安藤先生が新しい座席表を持って、教室にやってくる。

「今日、席替えだよね」
 隣にいた礼奈が言う。私は十分ほど前に学校に着いてから、ずっと教室の隅で礼奈やメグたちとお喋りをしていた。

「また後ろの席が良いなあ。寝ててもバレないしっ」
 そう言っては見たものの、正直場所なんて二の次だった。確かに後ろの席の方が少しくらい怠けていても先生に見つからないから、出来ればそっちの方が良い。
 でもそんなことより、誰の隣になるか、誰と同じ班になるか、誰の近くの席になるか。それが重要。

 クラスのほとんどが既に登校してきている教室の中を、ぐるりと見回してみる。
 女子はまあ、誰と同じ班でもいい。ほとんど全員と話したことあるし。
 男子は……まず、有明だ有明。あの人とは同じ班になりたくない。そう思いながら、男子七、八人のグループの中心で何やら爆笑している有明を見る。
 有明は、男子の間では人気があるのだと思うけれど、私が知る限り女子からの評判はあまりよくなかった。
 自分勝手だったりとか、女子の悪口を名指しで言ったりとかしたらしい。私自身も正直苦手だ。

 それから……そうだ、加藤。加藤雅秋(かとう まさあき)。今はまだ登校してきてないみたいだけど。
 背の低い、眼鏡をかけた男子で、休み時間でもいつも一人で席に座っているような人だ。そういえば誰かと喋っているのを見たことがない、気がする。私が覚えてないだけかもしれないけど。
 クラスの女子は、彼を遠巻きに見ているような感じだ。男子からは時々いじられている、というかからかわれている。特に有明とかに。まあいじめ、というほどではないのだろうけど。
 私は個人的に加藤と関わりたくなかった。
 なんというか、一人でぽつんと席に座っているのを見たりすると、どうしても小学校のときの自分を思い出してしまうから。

「ねえっ、誰かこの人とは一緒の班になりたくないなー、って人いる?」
 タイミングよく(と言っていいのか分からないけど)メグが言った。
 一人が有明の名前を挙げ、何人かがそれに同意する。有明は改めて女子からあまり好かれていないのだと、実感する。

「紗綾はー?」

 おっと、唐突に話を振られた。

 クラスの誰かの悪口を口に出して言うのはあまりよくないことだ、と思う。道徳的にどうこう、ということもある。
 それに、何かの拍子で悪口を言ったことが本人に伝わってしまえば、自分の立場だって危うくなりかねない。
 でも、かといってその場の雰囲気を乱すのもよくない。こんなときは、

「んー、そうだね……」

 と、ひとまず曖昧に返事をするのが得策だろう。中立な立場というのは、割と攻撃の対象になりにくいものだ。

 そうして、特に自分の意見を言うことなく聞き役に回って相槌を打っていると、とうとうチャイムが鳴って、先生が教室に入って着た。
 新しい座席表を黒板にマグネットでとめると、クラス中の視線がそこに集まる。