大人オリジナル小説

Re: 校内格差、【更新中】 ( No.26 )
日時: 2013/04/02 09:11
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg

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 私の体は、まるで重力が一気に倍になったかのように重かった。
 学校から帰ると真っ先に自室に向かった。鞄をそこら辺に放り投げ、ベッドに頭からダイブする。


 驚いた。瀬名にあんなことを言われるとは。しかも皆がいる所で。
 礼奈とメグは、私が小学校のとき暗い人間だったことを知ったからといって、今後の友人関係に何か影響が出てくるとは考えにくい。きっと「ふーん、そうなんだ」程度のことなのだろう。……でもやっぱり、知られたくはなかった。
 それに、更に気がかりなのは有明と秋風だ。彼らなら友人との会話の中で、何気なく今日瀬名が言ったことを話してしまう可能性はある。そうしてより多くの人に知られてしまうことを考えると、ぞっとした。

 小学校が一緒だった子と中学校でまた同じクラスになってその子と話すということは、今までにもあった。
 そのときに「そういえば浜島小で一緒だったよね?」などと確認をすることはあったが、小学校のときの私について切り込んで話をしてくる人は、誰もいなかった。
 面と向かって言われたのは、今日が初めてだ。

 瀬名の奴。授業中寝ていることを除けば、少し口数が少ないだけの人だと思っていたのに。
 要注意人物だ要注意人物。出来るだけ関わらないようにしよう。

 席替えをしてからの日数を計算してみる。……まだ三日。一ヶ月後はまだまだ先だ。明日も明後日も、あの人の隣なのか。いっそ、有明の隣の方がマシかもしれない。


 不意に、一人教室で本を読んでいる感覚に陥る。
 大半の人は外に遊びに行ってしまった後で、残っている人は残っている人で集まって、楽しそうに喋っている。
 賑やかな笑い声がすごく遠くから聞こえてくる感じ。私は一人、取り残されたみたいで。
 実際、読書は好きだった。「本が友達」という言葉も、確かに言われてみれば当たっていると思う。
 いや、でも! ちゃんと人間の友達もいた。数は大分少ないけど。


 ──────あ、そうだ。明日は英語の授業がある。予習しないと。
 ベッドから起き上がり、私は机に向かった。