大人オリジナル小説

Re: 校内格差、【オリキャラ募集】 ( No.6 )
日時: 2013/03/22 11:25
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg

( 朝が、来た。憂鬱な朝が )

 鏡の前で阿呆面をしている自分と目が合う。腫れぼったい一重の目。低血圧の私にとって、朝は憂鬱以外の何者でもない。学校、面倒だなあ。

 …………いや、駄目だ駄目だ! と気を取り直し、冷たい水で顔を洗う。朝ごはんを食べる。歯磨きをする。髪の毛を梳かす。鞄を担ぎ、玄関にある姿見で、自分の姿を再度確認する。
 膝上まで折ったスカートを整えると、私は何も言わずに家を出た。

 学校まで徒歩十分。一人で行く。近所には同じ学年の子も何人か居るけど、正直あまり親しくない。
 と言うのも──私は小学校のとき、とても暗かった。
 休み時間は大抵、一人で読書をして過ごした。今居る友人はほとんど、中学に入ってから出来た。

 私は足早に学校に向かう。まだホームルームが始まるまでには余裕があるけど、あまり一人でいるところを誰かに見られたくないから。


 昇降口で、礼奈に会った。
 礼奈。神崎礼奈(かんざき れな)。二年になって初めて同じクラスになった。最初の席替えで同じ班になってから話すようになって、今ではよく行動を共にしている。

「礼奈、おはよー」
 私は笑顔で彼女に話しかける。

「あ、紗綾!! おはようっ」
 礼奈は手をぶんぶんと振りながら、そう返してくる。

「今日は朝練、なかったの?」
「うん。ハッシーが昨日急に『えー、皆さんねえ、明日は朝練無しにしますんでー』って言い出してさあ、」
 礼奈はハッシーこと橋本先生特有の、語尾をやたらとのばす口調を真似て言う。
 彼女は女子バレー部で、現在は部長として活躍しているらしい。

 私は橋本先生の物真似をする礼奈の横顔を見た。
 やっぱり、礼奈は可愛い。ぱっちり二重で、色白で羨ましい。それに、明るい。人が自然と彼女のところに集まってくる、そんな感じ。
 一年のときも割と目立つ存在で、クラスは違ったけど、礼奈のことは顔と名前くらいは私も知っていた。
 それから二年になり彼女と同じクラスになって、私は頑張って話しかけるように努めた。彼女と仲良くしておけば、ひとまずクラスの中では安泰だと思ったから。

「そういえば今日一時間目って、橋本先生の授業だよね」
 私は会話が途切れないように次の話題を持ち出す。

「そうだったー! 予習全然やってないよー。紗綾は?」
「んー、一応やったよ」
「さすが! 後で写させてせてくんない?」
「了解」
 私はそう言って、微笑む。

 勉強はそんなに得意ではない。けど予習は毎回きちんとやって行くし、授業中もできる限り綺麗にノートをまとめるようにしている。いつ何時誰にでも見せられるように。