大人オリジナル小説
- Re: 学級崩壊【クライマックス&参照1000突破!】 ( No.193 )
- 日時: 2013/07/30 14:36
- 名前: 哀歌 ◆dcuKuYSfmk
35話 残酷な告白
「……綾乃」
ルカに名前を呼ばれ、振り返る。
「どうしたの、ルカ?」
「お前に、聞いて欲しいことがあるんだ」
「何?」
ルカは、苦しそうに顔を歪める。
「俺、東京に行くことになった」
「……嘘、でしょう……?」
『嘘だ』と言って欲しかった。
ただ一言、『嘘だ』と……
「嘘じゃない……! 優香さんの命令だ……」
「嫌だ……嫌だよ!!」
ぽろぽろと流れる涙は、止まってくれない。
「俺だって嫌だ。綾乃と離れたくない!!」
せっかく綾乃と付き合えたのに、とルカは拳を握る。
「……いつ行くの?」
「1週間後。今度の金曜日だ」
「……そっか……なんで……」
ルカは、唇を噛んだ。
「優香さんは、俺を厄介払いしたいんだと思う」
「……抗議してきて良い?」
「俺も行く」
ルカは、私の手を握る。
「あたし等も行く!!」
昴お姉ちゃんが立ち上がる。
「妹達の一大事に黙ってられるか!!」
清羅お兄ちゃんは、ルカを睨む。
「綾乃を泣かせたら殺す」
「はい!!」
……もう既に何回か泣かされてることは秘密にしておこう。
「涼月財閥の名にかけて、全力で阻止させていただきます」
「ありがとう、奏!!」
「ありがとう、涼月さん」
「当然のことです」
やっぱり頼りになるな、奏は。
「……優香さん」
私は、ガーデニングをしている彼女に呼びかける。
「あら、綾乃さん」
顔を上げた彼女に問いかける。
「……ルカが東京に行くって、どういうことですか?」
「……あの子の為よ」
「何で!? ルカのためだという根拠は!?」
優香さんは驚いたような顔を見せる。
「あの子は、このままだと荒川財閥を引っ張っていくことが出来ない。だから、東京へ行かせるの」
私が言葉に詰まると、隣にいたルカは言った。
「俺は、東京へは行きたくない。たとえ俺の為だとしても、俺には綾乃が居ない人生なんて死と同じだ」
「……俺らは?」
後ろにいた渡辺が首を傾げる。
「勿論、大切だ」
ルカは微笑む。
「俺は彼女と仲間が居るここを離れたくない」
「でも、東京に行くことは貴方の為なのよ!?」
「母さんはいつもそうだ!! 俺の為だと言いながら、いつも俺の人生を奪って!! いい加減、俺の好きにさせてくれよ!!」
「でも……!!」
「俺には、守りたい人がいるんだよ!!」
そう言い、ルカは私の肩を抱いた。
「行くぞ、綾乃。……俺は、東京になんて行かないから」
ルカは、歩き出した。
自然と私も歩き出す形になる。
「俺は、どこにも行かないから」
そう言ってルカは、私の頭を撫でた。