大人オリジナル小説

Re: 学級崩壊【クライマックス&参照1100突破!】 ( No.219 )
日時: 2013/08/08 19:54
名前: 藍里四季 ◆dcuKuYSfmk

38話 初恋【渡辺視点】

谷山に引きずられ、プリ機の中に押し込まれる。
普通の女なら迷わず殴っているところだが、何故か谷山は殴れない。
俺にとって、谷山は“特別”だからだ。

さっきと変わらず、谷山はすごい早さで背景などを選択していく。
未だに痛む耳を触ると、スターピアスに手が触れる。
ルカと佐々木。そして谷山と色違いのピアス。
今まで“おそろい”なんてものには縁がなかった俺には、とても嬉しく思えたんだ。

「ほら、渡辺君!!」
谷山に腕を組まれた。
香水の香りがし、思わず顔が紅くなる。
笑顔なんか作っている暇がない。顔の火照りを押さえるだけで精一杯だ。

最後の1枚。
「谷山」
「ん?」
俺は谷山の頬に、唇を付けた。

「……谷山。俺……お前が好きだ」

みるみるうちに紅くなる谷山の顔。
それにつられて、俺の顔も熱くなる。
2人そろって顔を紅くしている俺たちの姿は、さぞかし滑稽だったろう。

「……ら……落書きしようか!!」
「ああ、そ……そうだな!!!」
真っ赤な顔をして、妙なテンションで落書きをする。
ふと、1枚のプリが目にとまった。
俺が谷山にキスしているプリクラだ。
俺はそれに落書きもせずに、終了ボタンを押した。

「剣、顔紅いぞ」
「麻里乃ちゃんも真っ赤だよ? 熱でもあるの?」
佐々木とルカが俺等を見てクスリと笑う。
佐々木が俺に手招きし、俺はそれについていった。

「……渡辺、あんた……麻里乃ちゃんに告白したでしょ」

「……お前は化け物か?」
「か弱い乙女を捕まえて化け物は無いでしょう」
「男性教師を投げ飛ばす女に使う言葉は化け物以外無い」
「……麻里乃ちゃんに、アンタの過去バラしていいの? 私をいじめてた過去をね」
佐々木は笑う。
「……お前は魔女か?」
「なんのことかしら」
“魔女”という言葉が一番似合うような笑顔を浮かべる佐々木。
「麻里乃ちゃん、多分アンタを意識してる。せいぜい頑張りなさい。
……彼女を傷つけたら潰すから」
最後の1文を言うときだけ、彼女は般若の顔になった。

谷山を、傷つけるわけないだろう。

俺は、谷山が好きなんだから。