大人オリジナル小説

Re: 学級崩壊【第一部完結!!】 ( No.250 )
日時: 2013/08/17 07:26
名前: 藍里四季

3話 一筋の希望

「綾乃ちゃん……」
麻里乃ちゃんが、私の前に立つ。
「……どうしたの?」
私は、彼女に笑顔を向けない。絶対に。
あの子に見られたら、きっと麻里乃ちゃんまで標的になる。
仲間だと思われないように、私は笑顔を向けない。

クスクスという含み笑いが聞こえる。
あの子とその取り巻きが笑っている。
「麻里乃ー、早くやりなよー!!」
あの子が麻里乃ちゃんの肩に手を回す。
「……汚い手で彼女に触るな。……神崎」

ーー神崎奈々。

それが、私に嫌がらせをしている少女の名だった。

「汚いのはあんたじゃない!! 人殺し!!」
「……は?」
「宮本篤司は……お父さんは……あんたのせいで死んだのよ!! 」
宮本は、神崎の父親で、田舎に帰ったあと自殺したらしい。
その姿は無残で、ふた目と見られないものだったらしい。

「……だから何? 宮本は雪乃を殺した。それで私に復讐された。だから自殺した。宮本が死んだのは私のせいだとでも? 宮本が死んだのは自分のせい」

私は微笑む。
「自業自得でしょう」
その姿を見た神崎は、右手を振り上げる。
バチンという音が響いた。
「……痛っ……」
麻里乃ちゃんの頬には、神崎の手の跡。
「……麻里乃……ちゃん……」
「……ごめんね、綾乃ちゃん……私、今まで綾乃ちゃんが苦しんでるのを見て見ぬ振りしてた……!!」
ぽろぽろと大粒の涙を流す麻里乃ちゃん。
「ごめんね、綾乃ちゃん……!!」
泣きじゃくる麻里乃ちゃんを、私は強く抱きしめた。

「ありがとう、麻里乃ちゃん……」