大人オリジナル小説
- Re: 学級崩壊【第一部完結!!】 ( No.273 )
- 日時: 2013/09/01 14:54
- 名前: 藍里四季
足の筋肉が死ぬ……。・゜・(ノД`)・゜・。
4話 教育実習生
「そこ!! なにやってんだ!!」
凛とした、綺麗な声が聞こえてきた。
どこかで聞いたことのある、懐かしい声。
顔を上げると、そこには整った顔立ちの高校生くらいの少年が立っていた。
「……お兄ちゃん……?」
私が声を漏らすと、少年は驚いたように大きな瞳を開く。
「……綾乃?」
「やっぱり清羅お兄ちゃんだ!! ちょっと待って。高校生じゃなかったの?」
「飛び級という制度があるんだよ」
「へー」
私は微笑む。
「と、いうことは……教師になったの?」
「まだ教育実習生だよ。宮本のような教師にはなりたくないと思ってね」
「その教師の娘が貴方の教え子になるんですけどね」
「……え!?」
清羅お兄ちゃんは、周りを見渡す。
「ここここ」
私は奈々を指差した。
「……ああ、あの時の」
「……お久しぶりです。秋霞さん」
どうやら2人は、面識があるらしい。
「で、ルカは……居ないよな」
「……ああ、うん」
じわりと目に、涙が浮かんだ。
「……綾乃!!」
幻聴かな? ルカの声が聞こえるよ。
「……あはは、ついに可笑しくなっちゃったかな?」
「綾乃!!」
可笑しいな。ルカの姿が見える。
「ルカは東京に居るのに……って……え!?」
「綾乃、久しぶり」
「……3年ぶりだね」
「ごめんな、今まで会えなくて」
「ううん。大丈夫だよ」
「全然大丈夫じゃないだろうが!!」
ルカはいきなり大きな声を出した。
「隼人から全部聞いた。お前が嫌がらせされてるって……」
「……隼人くん?」
「久しぶりー。綾乃」
「なにしてんだよ、馬鹿」
隼人くんは頬を膨らませた。
「復讐するお前を見たくなかったから、つい」
隼人くんは肩をすくめ、逃げ出した。
「幸せにな、リア充!!」
その一言を残して。
「……お前か? 神崎。綾乃を傷つけたのは」
「ああ、俺だ」
「……お前、罪悪感というものは無いのか?」
「あるわけないだろ? こいつは俺の父を殺した!! だから俺はこいつを死ぬまで追い詰める!!!」
神崎は絶叫し、私のカッターナイフを持った。
それを、私に向かって振り上げる。
すばやく向かってくるそれから、逃げることなく佇む。
それが私の腹に吸い込まれた。
「……あや……の?」
奈々は、後悔したように立ちすくむ。
「……どう? 満足した……?」
私は微笑んだ。
奈々の瞳から涙が流れる。
「……奈々、ごめんね……私が宮本に復讐しなきゃ良かったのにね……」
けほ、とむせると、口から血が流れる。
「……綾乃!! 喋らなくて良いから!!」
奈々の静止も聞かず、喋り続ける。
これが最後になってしまいそうだったから。
「……奈々……お父さんを奪って……ごめんなさい……それから……」
我慢出来ずに、倒れこむ。
待って。これだけは……伝えさせて……
震える唇で、言葉を紡ぐ。
「
あ
り
が
と
う
」
……このまま目を瞑れば、奈々の悲しむ顔をもう二度と見なくて済むかな。
さよなら、皆。
私はゆっくりと目を閉じた。