大人オリジナル小説

Re: 学級崩壊【第一部完結!!】 ( No.287 )
日時: 2013/09/02 21:34
名前: 藍里四季

6話 願い

ピ、ピ、ピ、と、規則正しく機械が鳴る。
俺は医学なんて分からない。
だけど、綾乃が今にも消えてしまいそうだということは分かるんだ。
「……綾乃」
俺は、綾乃に呼びかけた。
「……ごめんな、綾乃……俺、お前を守れなかった……」
綾乃の左手を握る。
薬指の指輪が夕日に反射した。
「俺、彼氏失格だよな……」
そう呟いたとたん、病室のドアがすごい勢いで開かれる。
「……優香さん……」
そこには、髪を振り乱した優香さん。
「綾乃さん!?」
絶叫し、泣き崩れる彼女。
綾乃のことを嫌っていた筈なのに。
どうして彼女は、泣いているのだろう。
「……どうして……」
いつもは人一倍身だしなみを気にしていたのに。
こっちがどうしてと叫びたい。
「……優香さん。綾乃は……」
これまでのことを話そうかと思い、口をつぐんだ。
今の優香さんには、綾乃のことを話せない。
彼女は、今にも消えてしまいそうな程傷ついている。
何があったか俺には分からないけれど、彼女には話さない方がいいということは分かった。

「……綾乃……」

俺は、綾乃の手を強く握った。

「……雪乃さん、頼む……まだ、連れていかないでくれ……!!」

俺はもう少し、綾乃と一緒に居たいんだ。


俺のワガママかもしれないけど。
雪乃さんは綾乃と一緒に居たいのかもしれないけど。

「……俺が、綾乃を幸せにするから。今度こそ守り抜くから……」


だから、もう少し一緒にいさせてくれ。






*修正しました*