7話 希望ピクンと綾乃の指が動いた。目覚めたのかと思い、俺はナースコールを押した。「……あと少しで、目覚めるかもしれない」初老の医師は呟いた。「なるべく、綾乃さんのそばに居てあげてください」「はい……!!」俺は頷いた。最初はもう二度と目覚めないかもしれないと言われていた綾乃が、目覚めるかもしれない。それが、俺にはとても嬉しかった。なぁ、綾乃。早く目覚めてくれよ。俺、ずっと待ってるから。綾乃が目覚めるまで、ずっと待ってるから。俺は、綾乃の手をしっかりと握りしめた。