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9話　休戦

「あーあ。泣いたら喉乾いて来ちゃった。ジュース買ってきてよ。全員分。良いよね？」
「なんで俺が……！」
「あぁ!?」
昴お姉ちゃんが、細くて長い脚を組む。
「まだ虐めて欲しいの？」
新事実。
昴お姉ちゃんはどＳでした。
「買ってきます……」
宮本はうつむき、教室を出て行った。

「綾乃」
荒川ルカが近寄ってくる。
「何？　気安く名前呼ばないで」
「あのさぁ……俺らにも殴らせてくれねぇ？」
「宮本を？」
「ああ」
「勝手に殴ったら？」
「サンキュー」
荒川は、渡辺の元へ走って行った。
何か企んでるな、あいつ。


「何で誰も来ないんだろう」
「何が？」
日和ちゃんに尋ねる。
「こんな好き勝手騒いでるのに……可笑しくない？」
「ああ、それ、お父様のおかげよ」
「はい？」
奏が微笑む。
「“ちょっと”校長に掴ませたの」
ふふふっと微笑む奏。
ちょっと待って。君の“ちょっと”は、ちょっとじゃないから。
「1000万くらいかしら」
「……今度、私のおごりでケーキバイキング行こうね」
「はい！」
奏は、微笑んだ。