大人オリジナル小説

Re: 学級崩壊【オリキャラ募集中!&参照1900突破!!】 ( No.363 )
日時: 2013/09/28 05:43
名前: 藍里四季 ◆dcuKuYSfmk

15話 漫才

「陽!! 背負い投げの練習台……げほん。練習させてくれない?」
私は、陽の肩に腕を回す。
「今明らかに練習台って言いましたよね!? 言いましたよね!?」
「エーナンノコトー? ワカンナイナー」
「棒読み感が半端無いっすよ!?」
「もうお前等、漫才やれよ!! 夫婦漫才!!」
雷ちゃんの言葉に、陽が笑う。いつもと違う、哀しそうな笑顔で。
「夫婦漫才って……無いだろそれ!!」
「いや、あるかもよ? ねぇ、佐々木先輩」
急に話を振られ、私はうろたえる。
「……そうなったらそうなったで、面白いかもね」
私はふざけた調子で笑ってみせる。
「綾乃先輩ったら〜」
アハハ、と陽も笑う。
「いっそ、やってみる?」
「それも面白いっすね!!」
私達は、顔を見合わせて笑った。
「陽、無理しすぎ」
「……雷。俺が無理してるわけないだろ」
陽の笑顔に、何故か胸が締め付けられる。
なんだろう。この胸のざわめきは。
どうしてこんなに、胸が苦しいんだろう。
「……っ……」
ズキン、と心臓が、押しつぶされたように痛む。
「……!!」
息が出来なくなり、蹲る。
「綾乃先輩!?」
陽に、笑顔を向ける。
「……だ……大丈夫だから……そんな顔しない……っ!!」
また、ズキンと心臓が痛む。
「明らかに大丈夫じゃないでしょう!! 保健室!!」
陽に抱き上げられ、保健室に連行される。
「だいじょぶ……だから……」
「大丈夫じゃないからそんなに苦しんでいるんでしょう!?」
「……っ……!!」
また苦しくなり、陽にしがみつく。
保健室に着いた頃には、少し楽になっていた。
「俺、先生呼んできます……わっ!!」
「……陽……お願い……ここにいて……」
何故か、とても心細かった。
「……雷。綾乃先輩を頼む」
陽は雷ちゃんに私を任せると、保健室から出て行った。
もう、心臓は痛くない筈なのに。
何故か、涙が出てきた。
「佐々木先輩?」
雷ちゃんが、心配そうな顔で私を見てくる。
「……可笑しいよ……もう心臓は痛くないのに……涙が止まらないの……」
泣き崩れる私に、雷ちゃんは言った。
「恋ですね。間違いなく」
「……え?」
雷ちゃんは、真剣な顔で言った。






「佐々木先輩は、陽のことが好きなんですよ」





その言葉は、残酷だった。

気づかないようにしていたことを、気づかされた時のように。